ヴェストワンカップ【WEST ONE CUP】西日本最大級メジャー麻雀大会 ベストワンカップ

(ヴェストワンカップ/ベストワンカップ)

第2回WESTONECUP自戦記 田内 翼

 劇的な跳満ツモで逆転した第1回WEST ONE CUP決勝から早くも1年が経った。この1年は私にとって有意義な1年であった。いろんな方から『ヴェストワン』『チャンプ』と呼ばれたり、大会のシードを頂いたり、様々な配信に出させて頂いたり…こういった待遇をまだまだ堪能したかった。しかし、無情にも第2回大会の本戦が来てしまった。私は開会式で前年優勝者として上記のような内容のスピーチをした。もちろん本心は今年もやってやろうという強い気持ちを抱いていたのだが。

前年優勝者の私はベスト16からの出場。ベスト16の顔触れには、昨年決勝で戦った友添プロ、サイコロプロ。団体チャンピオンの忍田プロ、阿部プロを筆頭に厳しいメンツが揃ったというのが正直な印象であった。

1回戦。友添プロ、小西さん、堀プロ。東場の親で連荘し、逃げ切りトップ。+41.9P。しかし非常に内容の悪い半荘で、内容は30点ほど。配信卓であったが緊張は全くない。いろんな配信に出させてもらったおかげか、終始リラックスして打てた。

2回戦。阿部プロ、田村ツアー、酒井プロ。東場は小場で進むも、南1局の親で好配牌からの6000オールで逃げ切りトップ。+47.0P トータル+88.9Pで首位に立つ。親番で手が入っておりかなり楽な展開が続く。

3回戦。高橋さん、植田さん、水島さん。東1局のリーチ、一発、ツモ、ピンフ、裏の4000オールを皮切りに、東場で50000点オーバーのトップ目に立つ。しかし、そこから暫定2位に植田さんに猛追され、時間打ちきりの局できっちり捲られ2着。+12.4P トータル101.3P。この半荘トップの植田さんにトータルポイントを捲られるものの、悪くはない。

4回戦。忍田プロ、サイコロプロ、谷口プロ。東2局の親でリーチ、ツモ、ハイテイ、表、裏の4000オールと僥倖な滑り出し。ちょこちょこ放銃して忍田プロに一度は捲られるも、オーラス3900をあがり、逆転トップ。+38.9P トータル140.2P。僅差で首位に返り咲く。5回戦終了後にトータル1位が勝ち上がり、下位7名が敗退となる。

5回戦。西村さん、山田さん、加藤さん。東1局西村さんが親で猛連荘。7万点を越える。放銃こそないものの、20000点ほどに。そのあとちょこちょこ加点し原点付近まで復活するも、南1局に西村さんのリーチに一発で放銃して12000。最後はラス争いを辛くも制し3着。▲32.2P トータル108.0P。別卓で3着だった植田さんに素点で上回れジャンプアップは逃すも、かなり有利なポイント状況で最終戦へ。

6回戦。水島さん(+32.8P)、阿部プロ(28.3P)、友添プロ(+3.5P)。卓内2位の水島さんでさえトップラス15200点差を付けられない限りは逆転されないという状況。東1局に役ありテンパイが入る。待ちにそこまで自信があったわけではないが、勝負駆けリーチ。結果リーチ後に發が暗カンできツモって2000、4000。さらに東4局に卓内2位の水島さんのリーチに追っかけて一発ツモの2000、4000。後は逃げ切りトップで終了。トータル154.6Pの2位で決勝進出となりました。

1日トータルの内容は50点ほどで、一日通して非常にツイており、運に助けられました。決勝メンツは植田さん、西村さん、サイコロプロになりました。奇しくも植田さん、西村さんは準決勝で同卓した際にトップを取られた相手。しかも植田さんには東場の大量リードを時間ギリギリで捲られ、西村さんには東1局から大量リードをされ圧勝を許した印象の悪い相手。サイコロプロは2年連続の決勝で共に研究会を行う仲ではあるが、そのトリッキーな戦術に何度舌を巻いたことだろう…決勝も激戦必須である。

迎えた決勝戦。昨日どことなく悪かった体調も快眠のおかげか回復しており、コンディションは抜群。あとはやるべきことをやるだけ。

1回戦。親でリーチツモ裏裏の4000オールが決め手となりトップ。並びは私、植田さん、西村さん、サイコロプロ。

2回戦。1回戦2着の植田さんが点数を伸ばすも、南3局でチートイツドラ単騎をリーチしてツモり2連勝!!オーラスに連荘した西村さんが2着に浮上し、サイコロプロは2連ラス。この段階で190P以上離れているので、私に対する嫌がらせも覚悟しなければいけません。

3回戦。西村さんが抜けだし、私が追いかける展開。オーラストップの西村さんと8100点差。暗カンが入っていたこともあり、①①①②②③34456發發から出た2枚目の發をスルー。これはポンテンとっても良かったかな?跳ツモで私を捲るサイコロプロに八の暗カンとドラポン、そして西村さん、植田さんからリーチ。少し回りながら、①①①②②③④34456東東の形に。②は初牌だったが、⑤が通っており①も3枚自分の目から見えており、かなり打ちやすい牌。しかも、西村さん、植田さんからリーチ棒が出ており、西村さんから2600点直撃or5200点出あがりで100点差のトップになれる。ここまで条件が整えばリーチの一手だったように思う。実際には1枚切れの東を切ってテンパイ取らず。待ちの25はそれぞれ自分の目から1枚ずつしか見えていなかったのだが、待ちに自信がなく、2回戦までにリードをしていたこともあって安全策を取りました。結果的に上家の植田さんがすぐに2を掴み西村さんがリーチ、ピンフ裏裏の12000の出あがり。麻雀にたられば禁物なのだが、リーチを掛けていたらと脳裏によぎる…。続く1本場。遠くに見えるドラ色のホンイツへお出かけ。ツモに恵まれ、⑧③發と仕掛けてドラの①と⑤のシャンポン待ち。トップ目の西村さんと21100点差なので①をツモればトップ。直撃でも逆転できるが、さすがに難しいだろう。そこに私に満貫直撃で2着浮上のサイコロプロからリーチが入る。しばらくは押していたのだが、残りツモ4回で無筋の4を掴む。もちろん①をツモってトップをとればかなり優勝の近付くのだが、今の着順で終わったとしても、残り2回のうち一回でも西村さんの着順を上回れば良いので、勝負の先延ばしを考え安全そうな⑤で回る。すぐにサイコロプロが掴む①.着順は変わらないが4が通っていれば大きな16000.結局流局。サイコロプロは間2待ちのソーズのイッツーであった。この半荘2着でトータル107.9P。2番手の西村さんと50.1P差、3番手の植田さんと159.6P差、サイコロプロとは229.9P差で、残り2半荘ほぼ西村さんとの勝負となった。

4回戦。西村さんより着順を上回ることがこの半荘私の使命だ。東1局の国士テンパイだったサイコロプロから西村さんがメンチンの12000出あがり。さらに東場の親で西村さんが連荘し、ついにトータルポイントも逆転されてしまう。ただ、±20P以内であれば、最終戦着順勝負になるので、最低でもそこまでの差には抑えたいところ。結果的には植田さんがトップになり、植田さん、西村さん、私、サイコロプロの並びで終わる。しかし23800点差付けられての2着、3着だったので、トータル6.3P差で最終戦へ。

最終戦、ほぼ西村さんとの着順勝負。上家の西村さんに対する牽制&焦りから、普段あまりしない、遠目の仕掛けを連発。結果的に酷いことにはならなかったのだが、自分らしくはなかった。ただがむしゃらに打った。東3局に3副露の西村さんに中途半端にいった牌で5800直撃されてしまう。この放銃は致命傷で、もし負けていたら最大の敗着であったように思う。そこから一進一退の攻防でオーラス4700点リードで私の親を迎える。西村さんの条件は私から2600以上、脇から5200、800、1600以上のツモあがり。手牌によってはあがりに向かいリードを広げ、悪そうなら降りようと思って配牌を取ると、微妙な手。降り本戦だが、ツモが利いた際にあがれるようスリムに構える。中盤西村さんが長考後打5。私の手が二四四六七九九③④⑤⑦⑧⑨。そこへ3を持ってくる。もし、この瞬間2600や3900のテンパイが入っていれば、ダマテンも十分考えられる(リーチを掛けたとしても脇からの出あがりは考えづらい為)。ここで降りを選択するも、2枚しかない現物の内の1枚⑤を抜いてしまった。必要以上に恐れ過ぎた悪手である。そして次巡西村さんから恐れていたあの発声が。

『リーチ』

正直負けたと思った。どんな待ちで値段も足りているかもわからないが、流局まで7、8巡はあったように思う。私のやることは安全牌を抜くだけだ。しかし、リーチの入る前に現物を切ってしまい、安全牌に窮してしまう。初めは筋の二をトイツ落とししたが、再び手詰まり。1分以上の大長考の末2枚持っており、④⑤のダブルワンチャンスの③を選択。無事通過。しかし西村さんのツモは後2回。幸いにも安全牌が増え、降り切る事は出来そうだ。あとはただただ流局を祈るのみ。西村さんが17巡目のツモを河に置いた瞬間私の優勝は決まった。
 準決勝、決勝を通して内容でいうとそれほど良くはなかった。しかし、圧倒的な運に恵まれ連覇することが出来た。もしヴェストワンの神様がいるとしたら私に溺愛しているようだ。来年以降もヴェストワンの神様に愛され続けられるよう、精一杯麻雀を打ち続けたい。

WEST ONE CUP