ヴェストワンカップ【WEST ONE CUP】西日本最大級メジャー麻雀大会 ベストワンカップ

(ヴェストワンカップ/ベストワンカップ)

WEST ONE CUP 自戦記【田内 翼】

第一回ヴェストワンカップ。
各団体のトッププロ達による解説陣をも唸らせたその素晴らしい打ち筋で関西初の大型オープンタイトルを見事制したのは、日本プロ麻雀協会所属・田内翼プロ。
全国的にはまだまだ有名とは言えない田内プロだが、まさに知る人ぞ知る。関西の麻雀打ちの中では、並はずれて評価の高いプロである。
年齢も非常に若く、25歳。関西発のスタープレイヤーとして今後が期待されるそんな田内プロに、2年前、元同僚として同じ京都のマーチャオで働いていたこともあった筆者(ASAPIN)がヴェストワンカップの感想などをインタビューしてみた。

【小学校から麻雀をしていた田内プロ】
~麻雀を覚えたのはいつでしたか?
田内「小学校一年生の終わりの春休みですね。少年野球をやっていたんですけど、その遠征の大会に行ったときに監督や保護者が夜な夜な麻雀をやってるのを見て「何をしてるんだろう?」って興味を持ったのが最初です。父も好きだったので、それから父に教えてもらってゲームの麻雀を買ってもらって・・・MJをやり始めるまではずっとそのソフトにお世話になっていました。」
~ということはゲームが中心だったんですか?
田内「いえ、田舎のクラスで同じような境遇の男子が多くて、友達ともよくやってましたね。小学校の同級生で男子だったんですけど、8人中麻雀打てる子が6人もいました。あと家族でやることも多くて、面白かったのがテストの前日、父と兄に「どうせ勉強せーへんのやろ」と言われながら家族公認で麻雀やってたりもしました。普通の家庭なら止めるだろと(笑)。」


田内プロが影響を受けたという小室プロ

【自分の実力を試そうとしてプロに】
~プロになろうと決めたきっかけはなんだったんですか?
田内「自分の実力を試したいって思ったのが一番大きいですね。ずっと子供のころから打っていて、大学に入ってすぐ麻雀店で働くようにもなって、好きな麻雀でどこまでやれるか試してみたかったんです。」
~影響を受けた人は?
田内「18歳の時に協会の小室プロに紹介してもらってマーチャオで働き始めたんですけど、同僚や周りの人にも協会のプロが多かったんです。それで協会に入ることを決めました。小室さんにはすごく良くしてもらっていましたし、プロの競技の世界に興味を持つきっかけになりましたね。」
~プロになったのはいつですか?
田内「19歳の時にプロ試験を受けて、合格するまでの間に誕生日を迎えて20歳でプロになりました。今年で6年目ですね。」
~じゃあ若い若いって言われることが多いけど、意外とプロ歴は長い、と?
田内「そうですね。プロとしてはそんなに若手ってほどでもないです(笑)」

【初日に敗退の危機も・・・】
~ヴェストワンカップで苦しかった局面はありましたか?
田内「まず本戦一日目ですね。4回打った成績が3242で、ほぼ二連勝条件になってたんですよ。これはもうダメかと思いましたね。」
~でもそこから二連勝したんだ?
田内「始まってみれば東場で24000を和了れたり、開局から20004000を二連続で和了れたりで危なげなくトップを取れました。これといって何か変わったことをして和了れたわけじゃなかったんで・・・ツイてましたね(笑)」
~他では?
田内「他ではベスト48で二連勝スタートだったんですけど、その次の半荘でラスを引いてしまって・・・。ラスさえひかなければかなり楽な位置にいられたのに、っていう思いもあって辛かったですね。局面的にはそれほど辛い場面は少なかったんですけど、精神的には追いつめられました。」

【決勝戦最終局の裏にあった迷い】
~さて、それでは決勝ですが・・・やっぱりオーラスはしびれました?
田内「そうですね。オーラスの私の優勝条件はハネマンツモ、友添さんから8000、サイコロさんから16000。玉利さんからの出和了りは不可でした。そんな中で条件を満たす手が入り、ドラが①で7巡目に一二三五六六六①②③123の四五七待ちでリーチをしました。」


最終戦オーラス、田内プロが逆転手となるリーチを掛けた局面

~四七をツモればトップの聴牌ですね。あの場面は興奮しました。
「現状優勝ポジションの友添さんは和了れそうな聴牌が入っていなければオリると読んでいましたが、親のサイコロさんからリーチが入って・・・結果は高めをツモって優勝できたんですけど、もし安目をツモったらどうしようか悩みましたね。裏1条件なんですけど。」
~和了らない選択もあったと?
「優勝確率だけでいえば五をツモって裏ドラに賭ける方が最善だったと思うんですけど・・・仮に五をツモっても和了らなかったと思います。
ツモ切って四七をツモったり、流局やサイコロさんのあがりが発生して次局に条件を満たすあがりをする方が確率的には低いと思うんですが、裏ドラが乗らずの負け確のあがりをすることはきっと私には出来なかったと思うんです。
この局に五をツモ切った後にサイコロさんに放銃をしてもっと厳しい条件になるかもしれません。ですが、厳しい条件の中で来たこの手で決めたかった。」
~僕なんかは空気読まずに裏ドラに賭けて和了っちゃいそうですけど(笑)
「どっちがいいのかわからないですけどね(笑)」

【その他、決勝戦で印象的だった場面】

~他に、決勝を振り返って印象的だった局面はありました? 
田内「友添さん最初の6000オールは印象的でしたね。普通は大事に行ってしまう局面だと思うんですけど、なんて思いきりのいい人だろうと。最終戦での僕の親リーチにハイテイを回しての7ロン、あれも普通の人は鳴けないと思いますし・・・凄かったですね。あれで友添さんに優勝を持っていかれたような雰囲気はありましたね。あとは、最終戦でサイコロさんのリーチに後手で踏ん張って押しきり、12000を和了った局は自分の中ですごく印象に残ってます。」
~サイコロさんの西を止めたところ、観てる人には圧巻だったんですけど・・・アレはどんな理由で止まったんですか?
田内「観て頂いていた方からすると凄い読みで止まったように見えたかもしれないんですけど、あれは実はそんなに特別なものじゃなくて・・・自分の手が悪かったのとサイコロさんの手出しが染め手傾向だったので、この局は自分の番じゃないと思って止まった感じですね。あの瞬間に当たると読んでいたわけではないです(笑)」



サイコロプロのメンホンテンパイと、田内プロの手牌。ここから田内プロが西を流局まで抱え、視聴者を震撼させた。

【未来の雀王を目指す】
~今後の目標は?
田内「まずはリーグ戦を昇級して雀王を取ることですね。雀王が一番はっきりした自分の目標だと思います。あとは、今まであまりタイトル戦に出てなかったんですけど、今回の優勝をきっかけに色々なタイトル戦に参加していきたいですね。対応力には自信があるつもりです。自団体はもちろん、發王戦などの他団体のビッグタイトルにも興味があります。あ、あとはヴェストワンカップの価値を下げないよう頑張ります!」


田内プロが目標とする雀王。写真は現雀王の鈴木たろうプロ。ヴェストワンカップにも特別シードとして参戦。

【大会に携わるすべての人に感謝を!】
~田内プロ、長々とありがとうございました!それでは最後に一言お願いします。
田内「優勝できたことはもちろんですけど、関西でこういった大きな大会が開催されたことが凄く嬉しいです。来年以降もずっと続いていってほしいですし、ヴェストワンカップだけにとどまらず、全国的に関西の麻雀を盛り上げていきたいですね。大会に携わったすべての人々に感謝します!」

ヴェストワンカップ初代チャンピオンに輝いた田内翼プロ。周囲からの評価も非常に高く、年齢も25歳とこれから彼がどう羽ばたいていくのか、非常に楽しみだ。友人として、ライバルとして、彼の今後の活躍を見届けていきたいものだ。

著ASAPIN 2015.6.25 

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