第八回ヴェストワンカップについて 比嘉秀仁
「準優勝」というと普通は名誉なことであり、喜ぶべき成績だと多くの人が思うであろう。
数多くの参加者がいる中で上から二番目だ。賞金だってもらえるし、自分の戦績に入れてもきちんと箔は付く。さらに言うとこのヴェストワンカップは麻雀界ではG1タイトルであり、なおさら喜ぶべきなはずだ。
しかし、この準優勝が確定した瞬間―すなわち、優勝を取り逃した瞬間、私は悔しくて悔しくて堪らなかった。
なぜなら、10年以上前に同じくらいの大きな大会である日本オープンで決勝に残り、死力を尽くした結果、同じように優勝を逃したからだ。
今度は優勝したかった。だが、ダメだった。それで悔しくないはずがない。
配信対局が終わり、疲れ切ってふわふわした気分で打ち上げに向かう。
心ここにあらずという感じで何も考えずに飲み食い雑談してたかと思う。
打牌内容のあれこれも話題に出て、ワイワイする中ボーッと話を聞いていた私。
だがそこでとある先輩の一言が突き刺さった。
「下手だったね。」
そこで私ははっとした。そうだ。負けたのはだ単なる運ではない。
もっとなんとかできたはずだ。悔しくて結果を受け入れられないなんてまだそんなレベルじゃない。
今の世の中少しキツい言い方をするだけで割と嫌がられることは多いが、私はストレートにモノを言ってもらえる方がありがたい。先輩には感謝だ。
もうプロになって15年になるが、ひたすらネット麻雀で打数をこなしてはきた。だが、改善のための努力を十全にしてきたかと言われたら、まだまだできることはある。
とりあえずまず自分の配信チャンネルで牌譜検討をしよう、そして麻雀AIを取り入れて自分の基礎から見直しをしよう…そう決心をした。
来年もヴェストワンカップはある。今のこの気持ちを無くさず、研鑽して次は優勝できるようにベストを尽くしていこうと思う。
2023年 7月 比嘉秀仁