ヴェストワンカップ【WEST ONE CUP】西日本最大級メジャー麻雀大会 ベストワンカップ

(ヴェストワンカップ/ベストワンカップ)

第3回WEST ONE CUP自戦記【小松弘樹】

この度、ヴェストワンカップ協賛企業の居酒屋やすべえ推薦選手として出場致しました小松弘樹と申します。普段はやすべえ代表の大原泰孝氏が主催されている「やすべえリーグ」にて打っております。そちらでは一発・裏ドラ無しのμルールでの対局ですので、打ち慣れていない最高位戦ルールでのヴェストワンカップの対局は少し不安がありました。しかし、折角選手として本戦に出場したので、簡単に負けてはいられないなという思いを胸に本戦を戦い、運良く準決勝へと駒を進めることが出来ました。

さて、週が明けてベスト16。ここに残った選手での総当たり戦となりますので、今まで別ブロック故に対局することの無かった方とも打つ機会を得ました。2着、1着、2着、2着と上出来な成績で迎えた第5半荘、放映卓で悪夢が起こりました。

私はラスさえ引かなければ問題なく最終戦を打てる位置に居たので、無理をせず卓を回していく算段をつけ、途中幾つか放銃して素点を減らしてはいたものの3着目につけており、後は時間も少ししかないオーラス、田内チャンプの親番を迎えるだけとなりました。しかし、悪夢のような8000オール2連発。3万原点、3着で箱を割ったのは多分一生忘れないでしょう。3着とは言えほぼラスのようなスコアなので、最終戦はトータル2位の板川選手とのトップラス条件、それが叶わなければトップだけは取り、別卓の結果を祈るということになりました。一時は板川さんとトップラスの並びを作るものの、驚異の4000・8000ツモで浮上し、最終的に2着でのフィニッシュ。私はトップを取ったとは言え、非常に苦しい結果となりました。別卓では、オーラス間際に激しい点棒のやりとりがあり、誰が勝ち残るか分からない展開に。最終的に3位の田内さんと私が0.2ポイント差、私と5位の近野さんが0.1ポイント差で私が奇跡的に通過となりました。

さて、決勝戦の自戦記に入るにあたり、私から対局者に対して抱いている印象を書かせて頂きます。

トップ通過の友添選手は数年前にとある大会の予選で2回程同卓し、前日の準決勝も1度同卓しましたが、「先んずれば人を制す」という感じの鋭い麻雀を打たれる方という印象です。しかし速いだけでなく、打点も伴う攻撃もありますので対局回数は少ないながらもいつも私は後塵を拝している感覚を抱いています。

2位通過の板川選手は、この決勝面子の中では一番対局した回数が多く、前述しましたやすべえリーグにて普段から同卓する機会が多い選手です。麻雀界で活躍されて長いベテランの方ですが、所謂ステレオタイプなベテラン雀士の、腰が重く打点が高いというような方では無く、結構鳴きを多用する選手だと思っております。一段目での老頭牌を含むポンチーはかなり多いかなと思います。曰く今の雀士のスピードに合わせているとのことですが、単に鳴いてスピードを上げる鳴き麻雀では無く、怖そうな仕掛けを見せ、河もいかにも高そうな河を作り、相手の打牌に枷をはめることで相対的に自分のスピードを上げている、そんな印象を受けます。勿論怖く見えるだけの鳴きだけならこちらは気にせず向かえばよいのですが、中には本当に怖い手を作っている時もあるので、そういう仕掛けが効果的に映っていると思います。

そして3位通過のチャンプ、田内選手。同卓したのは前日の準決勝配信卓のみですが、昨日だけの印象なら悪夢のオーラス8000オール2連発という、今日はやめてくれよ・・・という感じでした。一度同卓しただけの印象なので分からない点はありますが、腰は重い方の打ち手かな、という印象でした。

 

本当は決勝戦の全5半荘、東発からオーラスまで全部を振り返りたいのですが、そうもいかないので上手くいった局面、反省点のある局面、迷った局面などをピックアップして振り返りたいと思います。

1回戦、東2局1本場、西家の板川選手から客風をポン、索子の混一色(に見える)仕掛けが入りました。私の下家なので、対応に迫られるが荘家の田内からも立直が入る、何とか安牌を切りつつ凌ぐものの、途中で切れずにいた東が重なりました。流局間近、聴牌料欲しさに田内から出た7をチーし、ワンチャンスの二を切ってしまい、田内への痛い7700は8000の放銃となりました。まだ東2局、押している板川選手と田内選手の二人聴牌なら、1500の失点で済むことを思えば終盤戦なら兎も角、これから長い5半荘この局面で押す必要は無かったかと思います。

次局は配牌から萬子の大洪水で、最終的に二三三四五五六七八九九九西の一向聴、一四七二五は鳴くことは決めていたものの、終盤ということもあり上家から溢れたラス牌の三に目が向いました。ポンすれば空テンの嵌三待ち、嵌張でチーすれば残るは五だけのシャンポン待ちの選択。私はポンし、ひとまず聴牌料を受け取る手はずだけは整えておいて、安牌の二を抱えつつ、萬子の上にくっつけば広い聴牌が取れるだろうという意図でした。解説の方はこの意図を汲んで下さいましたが、正直薄いとは言え和了れる聴牌の方がよかったのかもしれません。結果六を引き、四をツモって先程の失点は回復しましたが点棒授受の間もこれで良かったのかなとずっと思い悩んでおりました。

1半荘目は南場の親番での粘りが効いて、ある程度点棒を回復しての3着と悪くない滑り出しとなりました。

2半荘目は途中三色のみ嵌②待ちの聴牌が入った局がありましたが、ドラの東が見えておらず、直前に2枚目の②が切られたこともあり、闇聴を選択しました。案の定東を引いて雀頭落とし、待ち取りとしては良さそうな②が上家から切られてチー聴をとり、終盤矢継ぎ早に友添選手、田内選手ともに東単騎の形式聴牌にこぎつけ流局。ここは冷静に打てたかなと思いました。視聴者目線でも面白い局面になったかと思います。

しかし、オーラスで僅差の2着目で田内の親番、和了れば2着の局面で翻牌の暗刻が入りました。愚形搭子が多かったので積極的に仕掛けましたが待ちが悪く、七単騎になったところで恐ろしいラス目板川選手からの立直。ここで2着の順位点に目が眩み、七単騎待ちで押し返したのです。途中8を引き、立直の切り巡が9→4→7(立直)でしたので、8は如何にも危なく見えました。そこでまだマシかなと思われる七を切り、高め三色の裏1の放銃となりラス落ちして終局してしまいました。親番が田内なのですから、仮にツモられたとしてもラス落ちはありません。また待ちが単騎待ちなので次から毎回切る牌で悩む必要があります。それならば、3着落ちは甘受して、翻牌の暗刻落としで耐え忍ぶべきでした。勿論2着という順位に魅力はあります。しかしあの状況では綱渡りの状況のような2着を目指すべきでは無かったと思います。

 

3戦目は開局から三暗刻ドラ1の聴牌打牌で田内選手の3900に打ち込み、友添選手のポン聴で流れた不要牌をツモ切って1000点振込、続いて友添選手の平和闇聴に振込と失点を重ね、いよいよ窮地に立たされます。そして迎えた東4局でドラの③を引いて47待ちの平和ドラ1を立直。4がかなり見えていますがこの立場では立直しかなく、無事7をツモり、裏を乗せて2000・4000。少し心に余裕が生まれました。しかし友添選手にじりじりとリードを許し、オーラス板川選手の親番で、流局して1本場、ドラが8の場面でラス目板川選手から立直がかかります。私の手は立直ドラ1の手ではあるが待ちはドラ表示牌の7、勝負牌が①となって、日和ってオリに回ってしまいました。この場面、私は2着目ではあるがトップとは立直棒と積み場の300点を加えると出和了り5200でトップに立てる場面でありましたので、3着、4着と来ている場面ではトップを強引に狙いに行っていい局面でした。たらればの話ではありますが一発で板川選手が7をツモ切りっています。もし仮に待ちがドラ表示牌ではなければ勝負にいけたのかもしれませんが、立直棒が出て条件が出来たのに行けなかったのは心の弱さだと今では思っています。そして板川選手に4000オールをツモられ、2着浮上を許しています。ちなみにこの後、田内選手が①④待ちで追いつき、④が板川選手が立直後に暗槓しているので薄い待ちですが追っかけ立直をかけています。待ちが悪くとも私とは違い、きっちり立直をかけて上の順位を目指す姿勢をタイムシフトで拝見して、その選択が出来る人と出来ない私の差を垣間見た気がしました。

 

いよいよ後が無くなった4回戦、最低でもトップを取らないと最終戦非常に厳しいことになるので、ある程度は無理をしてでも前に行く覚悟で卓につきました。そして友添選手の1300オールで迎えた東1局1本場、友添選手からまた早い立直が入りました。私はそのご嵌2の役無し聴牌を入れますが、三暗刻の一向聴でもありましたのでそれを狙い(もしツモリ三暗刻の形でも良し)、聴牌を取ってダマ押し、途中西の暗槓の機会もありましたが我槓せず(劣勢なのでこれは暗槓した方がよかったかと思います)、そして三暗刻の聴牌をとって1単騎に受けました。悪くは無さそうな待ちには見えましたが、手応えを感じなかったので、良い単騎待ちが出来るまでダマ押しすることにしました。その後友添選手が序盤に切っている中を引いてきて立直。オリに回る二人から安牌に窮しての出和了りも狙いに行きました。そして対子で持っていた田内選手が一発で中対子を崩して8000の出和了りとなりました。

その後連荘を重ね点棒を積み上げて行き、トップを走り終局したが、オール2着の板川選手がトータルトップで最終半荘を迎えた。小松田内友添板川という並びが出来れば一番良いが、その並びでなくとも大トップでなんとか、という条件となりました。

 

最終戦は500・1000をツモった次局の親番、田内選手の先制立直に対して五五六七の亜両面の平和ドラ1で追っかけますが、入り目の④を二副露している板川選手にノータイムでツモ切りされ、嫌な予感。そして終盤3を掴み、ツモ切ったところ板川選手からロン、3900の失点ですが親番を落としたのと入り目を一発で通されたことなどが相まって、比喩でなく一瞬目の前が真っ白になりかけました。そして南3局、残された最後の親番ですが、序盤に切った8を下家の板川選手が789でチー。索子の混一色模様ですが、普段なら対応しつつの手組みになりますがこの状況ではなりふり構わず不要牌を切っていき、最後六九、高め六で一盃口の立直を入れました。九が全枯れ、六も山にほぼ無いのは見えていますが足止めでの立直となりました。そこでの板川選手の降り方が、先程の2回戦で私が出来なかった字牌を落としての撤退と、私が出来なかったことをここでも見ることとなりました。

そして一本場、門前清一色へ向かい一向聴まで進みますが友添選手にツモられ、オーラスは役満ツモ条件となり私の第三回ヴェストワンカップは終了しました。

優勝の板川選手はオール2着という、前代未聞では無いかと思えるような内容の優勝でした。本当におめでとうございます。

 

まさかここまで来られるとは思っていなかった私ですが、ここでしか経験出来ない体験が出来ました。反省点は多々ありましたが、今後の糧として受け入れたいと思います。そして、来年またこの舞台を目指したいと思います。

 

インタビューに慣れていない私に話しやすく進行してくださった麻生ゆりプロ、打牌から思考を的確に解説してくださった小林剛プロ、ASAPINさん、また大会進行にご尽力頂いた全ての方々に心より御礼申し上げます。

 

末筆ながら、今後のヴェストワンカップの発展と、関西のマージャン界が益々盛り上がって行くことをお祈りして、締めとさせて頂きます。

 

 

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