今でもたまに夢に見る。
第14回日本オープン。最終戦オーラス。
跳満をツモられなければ優勝のトップ目。14巡目のことだった。
「――ツモ。3000/6000」
万雷の拍手。
「優勝は、日本プロ麻雀連盟 大和プロ」
あとほんの指一本届かなかったタイトル。
第6回West One Cup 決勝
決勝という舞台にまた立つことが出来たことが本当にうれしかった。
このチャンス、掴み取りたい。
1回戦
東2局2本場13巡目
親の矢島さんがポンして→。
自分の手が
ツモ
が2枚切れ、が1枚切れ、が3枚切れ。
ここで自分はイーシャンテンからカンを選択したのだが、今思うと少し前がかりな選択だった。
ドラの在処が正直わからなかったのだが、矢島さんがタンヤオのみだった場合新ドラを乗せてしまうリスクは確かに高い。自分の手もリーチのみになってしまう。
自分でピンズを分断しているので、残りターツ的に矢島さんのはもう一枚持っていてもおかしくない。
内田さんは→→で、こちらもは持っていなそうだがを持っていることは十分にありそう。
とすると、ソーズは大体の場合カンを選択することになるので、こちらを決めてもいい。
、は縦引きよさそうなので引いてからのシャンポンもあるな、と思ったが巡目も含めるとやはり暗槓せず打がよかった。
カンした後リンシャンから。これは打ちづらいので打。
・・・打???
ツモで今通ったを打ち。
ツモ
まさかの4枚目のを引いてテンパイが入る。
矢島さんの最終が。はめちゃくちゃ危ない。
自分はリーチのみ。
矢島さんの手牌を推測すると、が当たる時は
ポン
で、恐らくピンズ1ブロックマンズ2ブロックの事が多そう。
新ドラのが2枚以上あることは十分に考えられる。
ここまで考えて、としてテンパイを狙おう、と考えました。
しかし口から出たのは「リーチ」
これが矢島さんのドラ暗刻に放銃で12000。
一瞬で全身の血の気が引きました。一体何をしてるんだ。
これまでの思考を一瞬で忘れたのか。こんな12000打つやつが座ってていいのか。
東3局、僥倖の3000/6000をツモって迎えた東4局2本場。
供託2本あり手牌が
ここから出るをスルー・・・
これも本当に良くなかった。ホンイツもあるし供託もあるので鳴いた方が良かった。
2枚目も声が出ず。
親リーを受けてペンテンパイするもオリ。
これが松本さんの猛連荘を生んでしまう。
終わってみれば2400点、トップの松本さんと121.8ポイントという大差でのラス。
自己嫌悪で胸がいっぱいでした。決勝まで来て大ポカ連発して。
でも、1回戦でよかった。
あと4回あるから、全部松本さんより着順を上回れば最終戦芽が残る。
逆に言うと1回でも下回ればもう優勝はないだろう。死ぬ気で松本さんと戦おう。
2回戦
トップ目で迎えた南1局2本場の親番。
ドラ ツモ
このテンパイ。
2着目松本さんと7000点差。
これは最初からペン間でテンパイしたらリーチしようと思っていました。
自分からがすべて見え、松本さんの第1打が9m、矢島さんがツモ切り、内田さんが9mの順で手出しと、が山2枚以上はいるんじゃないか?と思っていました。5mは持たれている可能性は高く手替わりも薄い、テンパイとらずは9pを2枚打ってしまっている。
を拾える3900、ツモって2600オールのダマテンがいいんじゃないかと解説のお二人も言っていましたが、は全員受け入れになっている可能性もあって、そう打たれ易くはないな、と感じていたのもあります。それならリーチして回りをオろそうと。
結果はリーチを打ったせいで矢島さんに上手くかわされてしまいましたが、、、
この半荘は松本さんに迫られるもなんとかトップ。
3回戦
東1局
2回戦終了して、松本さんと90.8ポイント差。
3回連続で松本さんよりも上の着順を取れば、60ポイントプラス素点で優勝の道があるな、とプランを立てていた。
8巡目にタンヤオ七対子のテンパイ。
2枚切れの単騎か初牌の単騎。矢島さんが変則的な河から・發と打って来たのでホンイツよりのチャンタだと思い、がそこまで良くない上に後々危ないと思って単騎に受ける。
11巡目、ツモで単騎変更。
親の松本さんがダブ東の後、手出し、、、と手出し。
いまにも親リーチが来そうで、親リーチの現物&拾えそうなのでかなりのまま行く気でした。
そして、14巡目にツモドラの。
跳満を引きに行くために単騎リーチだったかも、と今では思っています。
決勝だからどこかで勝負に行かないといけない。
その時の私の思考としては
・変則の矢島・内田にがありそう。
・ホンイツかチャンタっぽい矢島が悩んで1枚切れの、初牌のと打って来た。は重ねたがっていた字牌で、残る字牌はのみ。手牌がまとまっていなければ両方切ってくると思えない。は結構重なったのではないか?
・松本はピンフやタンヤオのメンツ手っぽい。間違いなくイーシャンテンで、追っかけリーチ来てもおかしくない。
・親の松本とめくりあった場合、山に1枚あるかないかのだと分が悪そう。
・矢島にドラのを鳴かれた場合はむしろ松本が行きづらくなり親落ちしそう。
結果は大激痛のでのアガリ逃し。これツモってたらどうなっていたんだろうなぁ…
南1局の親で松本さんに突き抜けられ、迎えた南2局親番。
七対子や三暗刻四暗刻を見てを切るとツモ…
ツモ切る手もありましたが、松本さんの手出しが手が整っていそうだったのでもう時間がないと打。引き戻してリーチ一発ツモの2600オール。まだいける。
南2局2本場
5巡目、
ツモ
にくっついたらタンピン三色まで見えると思っていたところにツモ。
を切ってタンピンにしたい所だったが、打とした。
矢島さんがマンズのホンイツっぽい鳴きをしており、内田さんも字牌から、と手出し。
マンズはドラ色ということもあってかなり高くなりそう。
ツモは三色もあるのでで外すが、ツモの場合、での即リーチを打とうと思っていました。
内田さん、松本さんが真っ直ぐ手を作っていたので、早くリーチでおろしたかったし、三者ともポイント状況的に私のリーチとは戦いづらいだろうと考えたからですが、結局松本さんより上にいかなければならないので打点を追ってここでの方が良かったですね。
きっちり咎めるかのように川にと並んで内田さんからリーチを受ける。
で、ツモでタンヤオ三色テンパイ。
地の果てまで押すんですが、自分がリーチを打つと、松本さんが自分の河にある字牌で矢島さんにアシストしたり、で内田さんに差し込みに来るかもしれない。
故にリーチはしませんでした。ツモは打点と待ちの兼ね合いでリーチに行くつもりでしたが。
で、ツモるドラ。
手替わりがなくなりましたし、自分の待ちも筋になりますが、やはり同じ理由でダマテン続行。
ダマテンの効果かはわかりませんが、松本さんから7700を直撃、逆転に成功します。
内田さんからもロンの声が出たのは驚きましたが、チャンタ三色だったようで。
オーラス、松本さんに迫られるも矢島さんへのアシストがなんとか成功してトップ獲得。
3回戦を終えて66.3ポイント差。三着順or2着順プラス素点を2回戦かけてつければOK。
南1局。親の矢島さんホンイツ2フーロに対して、ラス目松本さんからリーチ。
このリーチは割とヤバい。
暗槓まで入って、満貫クラスはありそう。自分の手も鳴けて満貫イーシャンテンになったので、ここはあがられるわけにはいかないと押すも松本さんにツモられ。この人強すぎ…
南3局3本場供託2000
松本さんと3000点差の2着目。1000点でもアガれば松本さんより上でオーラスを迎えられる。
北家ドラ
2巡目に打たれる2枚目のをスルー。アガリにはポンの方が若干早いような気がするので鳴く手は十分にあったかな?カン残りは即リーチ打てないですが、を引いた時にソーズの一通を見たテンパイ外しが十分だと思っていたのでスルーしてみました。
するとなんとカンが埋まってリーチ。一発ツモまでついてきて1000-2000!
南4局
2着目松本さんとの差は6200点。3着目内田さんと松本さんが2900点差なので、松本さんから3900直撃して3着に落とせたら最終戦着順勝負になるのでめちゃくちゃでかい。
5巡目に
ツモ ドラ
かを切るのがよさそうなのですが、ツモ切りとしました。
も1枚切れで引いての–or–に魅力がないのでのタンピンくっつきは欲しい。
松本さんが3巡目にを打っており、・引きのダマテンが直撃チャンスありそう。
結局
ツモ
の1300.2600をツモれて素点6500詰めて最終戦を迎えることができました。
泣いても笑っても最終戦。
松本さんと1着順+13400点差をつければ優勝!
問題の東2局3本場。
松本さんから先制リーチを受け、をポンしてテンパイ。
マンズピンズの両面が全部通った14巡目。
ツモ
松本さんの待ちで残るはソーズの5筋と愚形リーチ。
押すべきだったな、と今では思えます。
座っていた時は、矢島さんが苦しそうで、少考が少し回ったように感じ、ソーズの無筋が矢島さんからも打たれ辛いのではないか?
を打つとアガリ以外のソーズが全て受け入れられなくなり、じゃあ次のソーズでオリるのか?ならを持っておいた方がテンパイ維持は可能なのでは?等考えていました。
ただ。決勝で絶対に松本さんより上に行かなきゃいけないならば、ここは勝負しなければいけないところだったと思います。弱い気持ちが出てしまった。
と思ったらすぐ矢島さんからが打たれる。アガリ逃し。そうか。。。
字牌は見えてるし矢島さんは役ありなら上の三色っぽい。おそらくテンパイでドラ単騎かソーズの上っぽい。
この後の数巡の事は、本当に良く覚えていない。
を引いてきて、スライドを完全に見落としていて、そのまま松本さんのリーチに放銃してしまう。
放銃した時はそうか、シャンポンがあったか。と思い点棒を払い、親のサイコロを振って配牌を取った。
親の第1打を打った後に。
あれ、今、何で放銃したっけ。
そうだだ。と南のシャンポンだった。
ってなんだ。俺の持ってたピンズってじゃなかったっけ?
あれ?だったっけ?いやでもだった気がする。
と段々と思い出してきて再び血の気が引きました。
麻雀中に自分の手牌を見失う事なんて初めてのことでした。
自分の未熟さです。
見てくださった多くの方、大変申し訳ありませんでした。
5巡目、何も迷わない形でドラ1の親リーチを打てたのが本当に救いでした。
流局までツモ切る間深呼吸を繰り返し、なんとか気持ちを切り替えました
流局を挟んで東3局2本場。
6巡目に
ツモ ドラ
を切ればテンパイ。ただし、リーチのみ。
が3枚、が2枚自分から見えていては一見良さそう。
引きはもうリーチを打って2600オールを目指すつもりでしたが、これはあまり迷わずテンパイ外しできました。何もない状況なら絶対に外すので。
この選択がハマり、ドラを引いて松本さんから7700の直撃!!!
逆転した!!!!
15800点差で東4局松本さんの親を迎える。
ドラがで矢島さんがピンズの染め手。
を先に打った松本さんがをポン。
ヤベェドラ暗刻入った、、、
ポン出しがで、周りとのシャンポンバックもあるかもですが、ドラ暗刻のテンパイだと思ってもう何も切れないと思って打とう。
引くは両面なら切って先固定するはず、直前のもポンが入っていない、から先切りはおかしいので通りそう。
で、松本さんから手出し。
ってなんだ。のカンチャンを払った?でももう一枚あってもおかしくない。
が鳴かれてないからソーズからっぽい。ポンイーシャンテンで、が埋まって別で待ってるかカン待ちか。
手役がチャンタドラドラだったらピンズ、ソーズだったら4巡目の引っ張って三色見そう。マンズ完成でも切り順はおかしい気がする。やっぱりドラは暗刻っぽいなあ・・・・
4枚山ですって。。
矢島さんから12,000の移動。キツイ。
東4局2本場。
松本さんがポン、ポンでかなりヤバそうなところからからをチー。
トイトイを消した?これダブルバックだ。役牌がの三種。これだけはやめよう。
と思った瞬間。
ツモ
3枚切れのカンテンパイ。
切ってテンパイとっても良かったかもしれない。
手変わり考えた時に、引いてのがダメなこと、引きは切りでも変わらず、–縦引きでのカンリーチや引いて–が選択できることを考えてツモ切りとしました。
そしたらまさかの4枚目のツモ・・・・いるなら先に言ってくれー!!!
まぁこれはこれで良し。–リーチに踏み切ります。
山に4枚でしたね。
リーチしないにしてもカンをテンパイ取ってると、ツモドラ1の500-1000はのフリテンリーチ打ってたかもですね。ピンズ良かったので。
このめくり合いに負けたのが勝負の決め手でした。
南3局親番、どう足掻いてもテンパイすることが叶わず、目前まで来た優勝はまたしても手から零れていきました。
正直一回戦の入り方が最悪でした。どこかふわふわした気持ちで打ってしまっていた。
決勝という舞台の経験の浅さか、気負いすぎたのか。結果最悪の12000放銃。
最終戦でもスライド見落としで松本さんに放銃。
自戦記というより自省記になってしまいましたが、反省する場面が多く、実力不足を痛感しました。
本当に悔しいですが良い経験ができたと思います。
新型コロナ禍で1年延期、今年の開催も危ぶまれましたが、無事開催され、大いに盛り上がった大会でした。主催の麻雀普及委員会様、協賛の皆様、参加された選手の皆さん、運営の皆様、放送をご覧いただいた皆様ありがとうございました。
これからももっと精進して、来年またこの舞台に帰ってこられるよう頑張ります。
松本さん本当に強かった!!!おめでとうございました!